こちらもご覧ください!(広告掲載のご案内)
アドベントカレンダーの先陣を務めさせていただきます、団員のぐこです。12月中旬で団員歴マルっと四年になります。
日帰りで公共交通機関と徒歩で攻城するのがほとんどで、在住の東海近辺がメインの初心者です。できたらじっくり見てまわりたい派です。
自分的に今年一番インパクトがあり、感動がまだ燻っている滋賀県彦根市の男鬼入谷城(おおりにゅうだにじょう)を紹介させていただいて、よろしいでしょうか?
実は悩みました……この男鬼入谷城、先陣を切らせていただくのに、多くの団員さんに向けてオススメできるお城でなく、かなりマニアックな行きにくいお城です。ごめんなさい🙏
でも団長さんの(多様性)という言葉を良いように解釈させてもらいました。十人十色、十人十城でええやん、と😅
男鬼入谷城。(原生林の中のちょっとシンプル鎌刃城)‥‥をイメージしてもらったらよいと思います。
⭐️ステキな遺構が山奥に完存
⭐️ミステリアスな歴史
⭐️アクセスが異世界
という魅力的なお城です。
ミステリアスな歴史
まず、(男鬼入谷)は初見殺しで攻城に怯んでしまうネーミングですが、なんのことはなくて、正式名称が文書にないので男鬼集落と入谷集落の間の山のお城という感じでつけられたようです。鬼もたぶんいないです👹
男鬼入谷城は、2000年以降に発見された彦根の山間部にあるお城で、歴史はほぼ不明だそうですが、浅井氏と六角氏との抗争に絡んで山間部に入って抵抗を続けた京極高広が築いたのでは?という説があります。北東の山間にある八講師城から対六角氏の南に向けての、出撃拠点だとも言われています。
アクセス
公共交通機関+徒歩の私は
近江鉄道鳥居本駅→
河内風穴(かわちのふうけつ、かわちのかざあな)から林道→
廃村の落合集落から林道→
廃村の男鬼集落(比婆神社一ノ鳥居)から林道または参道→
比婆神社本殿から山道
を登りました。一日掛りで巡りました。
河内風穴までは新しい良い道です。その先の神社までの道は舗装されていますが、落石や落ち葉も多いし、それなりの小さい車しか絶対無理そう、と(運転をしない)私は感じました。
けれど、落合集落の霊仙山登山者用の駐車場には普通車が停めてあったし、比婆神社本殿の駐車場にもアウトドアっぽい軽自動車が停めてありましたし、駐車場もあるにはあります。車でもアクセスすることも一応不可能ではないみたいですが、事前確認が必要そうです。
ちなみにすでに落合集落から携帯は圏外になりました💦
落合集落
廃村ですが、霊仙山の登山口の一つで、駐車場には平日でもぎっしり車が停まっていました。そこから男鬼集落へ向かいます。たくさんの登山客さんは違う登山口へ向かって行かれ、男鬼集落方面へ行く人は私だけでした。
道中はさすが霊仙山という感じで、天然の石垣みたいな斜面が見えていてなかなかステキです。
男鬼集落と比婆神社一ノ鳥居
彦根の山間部は現在、廃村が多いみたいで、行く前は
(なんか、廃村って響き、怖いなあ)
と思っていましたが、
周囲の木々や雑草も刈られサッパリしていますし、管理や維持もされているのか、普通の古民家というかむしろ明るい雰囲気でした。
一歩奥に入った神社などへは行かんほうがいいかも? という感じがしましたが。
立派な比婆神社一ノ鳥居周辺はバードウオッチングに来られている人がたくさんおられました。
「上の神社にいくの?」と声をかけられたので
「その先の高取山の山城に行きます」と伝えました。帰りに戻ったことを伝えました👍
比婆神社本殿
一ノ鳥居を潜ると約3キロの林道が本殿まで続きます。途中林道と山道になっている参道の分岐があります。参道は急ですけどかなりショートカットで私好みでした。(帰りは林道をダッシュして降りましたが、ヘアピンカーブな林道でした)
拝所を経て、奥に進むと立派な磐座が背後ににある本殿が現れます。
祭神は伊邪那美命(いざなみのみこと)とされています。この伊邪那美命は天照大神を生み出した伊邪那岐命(いざなぎのみこと)の妻として神話で語られる神様ですね。黄泉の国とかと関係があるそうで……。
(そういう神様に私、なんのお願いをしたらいいんかわからへん……)
とりあえず、無事にもう一回ここに戻ってきますね、って伝えてみました。帰りも寄りました👍
鈍感力高めな私ですが、すごい荘厳さを感じました。
なぜかものすごい派手な芸能人風の男性がマネージャーみたいな人と軽自動車で来ており、その方々とだけすれ違いました😳異世界すぎる……。
比婆山頂へ
さあ、ではパワーを頂いたところで、拝所前の灯篭左側から男鬼入谷城に行ってきます。
まずは比婆神社(ひばじんじゃ)を抱いてる、比婆山頂を目指します。
霊仙山系ということもあって、石灰岩がニョキニョキ露出していてステキです。
(比婆神社の磐座の上部やから、踏んだらアカンかな)
とか考えながら進みます。
明確な道はないですが、尾根上を進むと5分ほどで山頂です。ピンクテープが誘導してくれます。
この比婆山は広葉樹林で、かなり動物の気配はありますが、足跡を見る限り、シカとサルという感じです。熊鈴を鳴らし、時々笛も吹きます。
比婆山頂から男鬼入谷城へ
高取山への方向、東へ降ります。ここには(男鬼入谷城→)の道標もありました。
ここから城域まではなぜか道がはっきりしています。東へ向かって尾根上をアップダウンしながら進むだけで、分岐もなく、GPSで確認することもありませんでした。
時折り霊仙山も見えます。
男鬼入谷城のある高取山の方は植林も多い感じで、こちらに入ると城域も含めてほとんど動物の気配はありませんでした。ただ、昼間で天気も良かったのにも関わらず、ちょっと暗い道です。
男鬼入谷城を攻城!
西端の堀切とトラロープがある切岸が見えてきたら城域です。比婆山頂から15分くらいでした。
このお城は案内板などはなく、木の城趾プレートが主郭とされる曲輪にあるのみです。
(近畿の名城を歩く)の本の縄張り図を参考にド素人なりの図を作ったので、参考にしてください。
尾根上の大きい郭は西郭、山頂郭、主郭の三つで(勝手に呼ばせてもらいます)その間に切岸や堀切があったりして小さい郭がいくつか挟まっています。
それぞれの三つの大きい郭には南に尾根が派生しており、そこにも小さな郭や堀切がある、という感じです。
西郭
比婆神社から城域に入ったはじめの西郭、広々しています。
西側に土塁があります。南側法面には石積みが見られ、その下には段郭があり、二重の堀切の内側に石積みがあります。
山頂郭
山頂部郭西手前に大きな堀切があります。
山頂部郭も南側に段郭、二重堀切があります。
主郭
主郭は北東に石積みも見られる櫓台跡があります。その東側に三重堀切や竪堀が連続してあるエリアがあります。
この辺りはこのお城の見所なのですが
(倒木が酷くて、遺構がずっと維持できるのかなあ)と心配になりました。
三重堀切へもロープで降りれるようになってはいますが、倒木が邪魔なので、ちょっと迂回して帯郭経由で降りたほうが私は楽でした。無理して降りなくても、三重堀切のダイナミックさはわかると思います。
主郭周りは竪堀も大きくてかっこいいです。北側下には石積みも見られます。
主郭南側の郭を経ると畝状竪堀群が書籍などの縄張り図に派手に描かれているエリアがありますが、実際は薄い畝状竪堀群でした。往時はもう少しは深かったのかもしれないですね。
書籍に「見渡す限り山々しか見えない」とありますが、調査があった頃から伐採があったのか、主郭からは南西面で開けている場所があり、観音寺城の城山や三上山などまでよく見えました。南西側はよく見渡せると言って良いと思います。
感想とちょっぴり考察
(京極氏? かはっきりしないけどココのお城の城主さんは、六角氏とか浅井氏とか湖南地方の動向を探ることができたはずやな)と思えます。
こんな山奥で、全く眺望もないなら
(何の城なんやろー?隠遁とか修行?)と思っていましたが、結構眺望があったので
(機会を窺いつつの潜伏城)だったのかなー?と思いました。
また書籍には「戦国末期の発達した縄張り」とありますが、
(堀切や堀切、竪堀、一部石積みはあるけど、虎口はどこもシンプルだし、発達したとかは言い過ぎちゃうかなあ)
と私は思います(偉そうにスミマセン)。
ただすごい山奥なのに、広い山城で土木量がすごいのにはびっくりします。
短期間で築城するのは無理だから、隠れ城として存在してたものを度々アップデートしてたのかな……と思います。
日当たりも良くなく、郭の地表面などは全然薮になっておらず、その当時の状態から時が止まった感じを受け、そこがすごくステキでした。
隅々まで見て回ったら、結構時間が経過していて、下山したら結構遅くなっちゃいましたが大満足でした。
そんな感じで繰り返しもありますが、
⭐️アクセスが難しいかもしれないですが、アクセスもステキ。
⭐️遺構は完存。ミステリアスな雰囲気もステキ。
⭐️比婆神社からの山道は山頂で東へ左折・直進するだけで山城に慣れた方なら道迷いはしにくそう。
⭐️多少体力がある山城好きさんにはオススメです。
⭐️携帯圏外なので、できればホントは一人で行かないほうが良いです。
また来年も素敵なお城に出会いたいと思いますし、攻城団を利用して、情報をもらったり、提供したりしたいです! 引き続きよろしくお願いします。
長文になってしまいましたが、読んでくださりありがとうございました。ぐこでした☺️
次はいろいろとチャレンジャーなtoproadさんにパスです!