団員ブログ by 攻城団 攻城団団員による団員のためのブログ

今年良かったお城→→→雨の松江城

こちらもご覧ください!(広告掲載のご案内

雨の松江城

不昧公がまってくれていました

こんにちは、兵庫県播磨在住の山鳩です。
2024年は函館市や盛岡市、千葉県佐倉市などに観光や所用で出かけた際、いつか行けたらいいなぁとぼんやり思っていた城をいくつか攻城できてとてもラッキーでした。私の中では「棚ぼた攻城」と呼んでいます。
それとは反対に、攻城を綿密に計画して同行メンバー(主に夫)に攻城を提案するドライブがあります。11月初旬の「国道9号線ドライブ in 島根県」の話が持ち上がった時に、立ち寄り先として、①松江城の堀川めぐり ②浜田城 ③七尾城 をプレゼンしたところ見事採用され小さくガッツポーズ。

当日早朝、二人とも自称「晴れ人間」なので天気予報などは確認せずに出発しましたが、途中から降り始め雨は島根県に入るとどんどん強くなり、結局松江市滞在の2時間は警報級の豪雨。
9時前に松江城大手前駐車場に着くと係の方に「今日はお城(天守)には入れませんよ」と告げられ予定を変更せざるをえませんでした。

この大雨は午後から次第に止み②と③の山城二つは攻城できたのに、肝心の①松江堀川めぐりの屋根付きの遊覧船は運休。内濠に沿って車で一周してみたけれど内濠に架かる橋はどれも「通行止め」の札がかけられていました。
後で知ったのですが、倒木の恐れがあるためだったそうです。大手前からは天守がチラッと見え、外曲輪(馬溜)では菊花展が開かれていましたが、入ることは出来ません。

それならばと、事前にチェックしていた松江歴史館へ。
セカンドプランでしたが、ここで過ごした1時間半が珠玉のひとときとなりました。

前置きが長くなりました。
多少の雨なら遊覧船も運行していたはずだし、豪雨でも傘をさして本丸や二之丸、北之丸を歩きまわる気持ち満々でしたが、城の神様はどうしても私を大名茶人、松平不昧に引き合わせたかったのだと思います。
大手前駐車場に車を停めて大粒の雨に打たれつつ松江歴史館へ向かいました。

松江市松江歴史館で松江城を知る

玄関には松江城天守の巨大模型。靴を脱いで畳敷きの館内へ。展示室以外は入館無料、基本展示は大人510円。

天守入口の敷居は蹴放し(けはなし)の再現かな。

国宝 松江城天守祈祷札(基本展示室)

松江城天守の築造年を裏付ける祈祷札の実物2枚(期間限定特別公開)には天守地階の柱に打ち付けられていたことを示す小さな釘穴があります。
左側には土地を鎮めるために埋めた祈祷札と槍。天守地階の南西隅(裏鬼門)の礎石下から出土したものです。

ジオラマと模型(基本展示室)

地形がよく分かるジオラマです。天守が築かれた亀田山はその北から続く丘陵の南端で、北側の内堀開削は大工事だったそうです。
右側の木製の模型は寛永年間(1624~44年)に、大工頭が天守を修理する際に作ったと伝わるもので、縮尺は高さが強調されています。

大名茶人、不昧のコーナー①(基本展示室)

松江藩七代藩主・松平治郷は江戸時代後期の茶人で号の不昧(ふまい)で知られています。
名前とエピソードは見聞きしていましたが、自筆の茶道具解説書や遺言書、略年表などの展示ひとつひとつに感激、感銘を受けました。
正室は仙台藩伊達家出身だったのですね。酒井忠以(ただざね。姫路藩酒井家二代藩主、号は宗雅)との師弟としての交流についてはここでは触れられてなくて、ちょっぴり寂しい気持ちに。
(参勤交代の道中、二人が見附(静岡県)の茶屋で再会した時は大雨だったそうです。忠以の「逾好(ゆこう)日記」は本当に貴重です)

大名茶人、不昧のコーナー②

不昧が趣向を凝らして用意した茶会用の和菓子についての展示も充実していました。
いつの茶会で用意されたか、由来や製法なども記録されているそうです。
上段は松江三大銘菓で、左から山川、若草、菜種の里。下段は、やまかつら、姫小袖。

松江市が京都、金沢に並ぶ日本三大菓子処のひとつに数えられるのは不昧によるところが大きいのがよく分かりました。

松江城VR体験コーナー(玄関を入って左側)

「天守への登閣を疑似体験!」というキャッチコピーに引かれ夫が挑戦。
特殊なゴーグルを装着して、地階の様子や最上階からの眺望などバーチャル世界を探検できます。体験者の見ている映像はモニターに映し出されるので同伴者も楽しめます。(参加無料、約15分)

大広間から日本庭園を鑑賞(暮らしの大広間)

枯山水の庭の奥、復原長屋の屋根の瓦越しに天守がちらりとのぞいています。
雨に濡れる樹木、庭石、灯篭もまた風情がありました。「暮らしの大広間」は無料のくつろぎスペースで、隣の喫茶「きはる」で注文したものをここで頂くこともできます。

不昧の影響は絶大で、夫は人生初の<お点前ごっこ>がしたくなり「抹茶体験セット」を、私は迷わず「不昧三大銘菓セット」をオーダーして不昧三昧。
紅白、若草色、菜の花色に金箔という色合いの不昧好みの菓子を味わいながらゆったりと抹茶タイムを過ごしました。
不昧のことは見知ってはいたもののこんな形でお近づきになれたのも豪雨のおかげ、この日以来、心から不昧公とお呼びしています。

攻城を終えて

館内には他にも企画展示室やミュージアムショップ「縁雫(えにしずく)」などがあり、丁寧にまわろうとしたら1時間半では足りませんでした。
このブログを書くにあたって松江歴史館のホームページを見たところ、こんな素敵なフレーズが。

松江に降る雨はご縁を運ぶ縁雫

初攻城は2014年(団員になる前)で天守のみの見学でしたが、今回の雨がまさに「縁雫」となって3回目の攻城につながっていきそうです。
天守&石垣の探索と遊覧船での堀川めぐりに市内の老舗菓子司を数軒訪ねるとしたら、次はたっぷり一日コースかな。雨の松江城、よき攻城となりました。

最後に

アドベントカレンダー企画でブログ公開日(12/23)を選んだのですが、宝暦5年12月23日(1756年1月24日)は奇しくも酒井忠以の誕生日🎂 長々と拙い私の個人的思いにお付き合いいただきありがとうございました。

   
この記事を書いた団員

山鳩さん

播磨から西へ行ったり東へ行ったりお城を楽しんでます。城柵にも台場にも出かけます。

山鳩さんの記事一覧を表示

過去記事からランダムで表示する
フィードバックのお願い

攻城団のご利用ありがとうございます。不具合報告だけでなく、サイトへのご意見や記事のご感想など、いつでも何度でもお寄せください。 フィードバック

読者投稿欄

いまお時間ありますか? ぜひお題に答えてください! 読者投稿欄に投稿する

トップへ
戻る