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こんにちは、山鳩です。
2018年11月に団員になるまでは、城についてあまり興味はなく本当に何も知らなかったのですが、人生何が起こるかわかりません、2022年秋から姫路城の外国語ボランティアガイドとして四季折々、様々な時間帯で姫路城を案内しています。
攻城団の「2024年の攻城記録の集計する」を見ると私が今年攻城したのは43城(47回)ですがこの他に姫路城での英語ガイド回数が147回で、週に2~3日、ボランティアガイドとして城に入り浸ってます(笑)。
海外の方々と英語でやりとりしながら姫路城有料エリア内を一緒に巡っているという感じです。
姫路城の魅力はたくさんあって数えきれませんが、今回は私がガイドする時に比較的ウケる、あるいはウケるように話す「私の推し窓」を中心に綴りたいと思います。
姫路城、私の推し窓3選 2024
- 格式の高さをアピール、華頭窓(火灯、花頭などとも)
- 必殺鉄格子窓
- 絶妙配置の鉄格子窓
「格式の高さをアピール、華頭窓」(a 菱の門、b 乾小天守、c 西小天守)
a 菱の門の華頭窓
筆頭は有料エリアに入ってすぐ、現存の櫓門「菱の門」の華頭窓です。ガイドの時はこの写真の場所で菱の門全体の話をしたあと、こう続けます。
「(黒い縦格子の)両脇に鐘のような形のものがありますね。これらは華頭窓といって建物の格式の高める伝統的な窓なんです。お寺、特に禅寺に行ったらこのような窓がみつかるのでさがしてみてね。向こうに見える二つの建物(小天守)の最上階にも同じような形の窓があるのですが見えますか?」と伏線を貼ります。
通常、菱の門の窓の扉(白漆喰の引き戸・はめ込み戸)は閉まっています(上の写真)が、開くと下のようになります。
これは菱の門2階の内部です。菱の門の華頭窓は内側も優美な曲線です。
黒漆塗りの縦格子の側面にも金色の装飾が施され、この門の格式をグレードアップしています。縦格子の窓はそれ自体が物見と攻撃装置ですが、さらに門としての防備に抜かり無し、床面には下向きの鉄砲狭間も付いてます。
b 乾小天守の華頭窓
「にの門」を抜けるともう天守群は目の前です。ここでは「手前の建物(乾小天守)の最上階に華頭窓が見えます、黒と金色の組み合わせはゴージャスですね」と軽くプッシュします。
さらに右手に進んでライトアップ用のライトのすぐ脇が私のオススメ写真スポットのひとつ。
ここから見上げる天守群の西側はことさら破風や懸魚、鯱で飾られゴージャスです。ここにお連れするとほとんどの方々が感嘆の声をあげます。
ぜひ見上げて、築城主・池田輝政の心意気を感じてほしいです。
通常この華頭窓を間近に見られるのは大天守3階西側からです。
(見学順路では下り階段の右手)
写真は乾小天守の南面と東面です。乾小天守の華頭窓は南面と西面のみで、北面、東面はシンプルです。またこの最上階の窓はどれも格子がありません。
この写真は西面の華頭窓の内部です。四角い窓の外側に華頭窓の窓枠が取り付けられているのがわかります。
「この枠は羽柴(豊臣)秀吉が創建した当時の姫路城天守に使われていた古材を再利用したもので、安土城天主と同時期の華頭窓の実例として価値が高い。」とのこと。
(三浦正幸著「天守 芸術建築の本質と歴史」140頁)
c 西小天守の華頭窓
西小天守の華頭窓は南面にあります。これは三の丸広場の南端から撮りました。
この時期、三の丸広場ではライトアップイベント(2024年の開催は11/22~12/11)の大道具・小道具が設置されていました。
西小天守の華頭窓からは三の丸広場が見えます。
乾小天守と同じように四角い窓に華頭窓の窓枠が取り付けられているのがわかります。さらに縦格子が固定され、防備と攻撃の態勢です。
「必殺鉄格子窓」(ロの渡櫓の西端)
赤でしるしをつけたところ、これが私の一推しの窓です。
ほの門の手前からすでに見えていますが(写真左)、水の一門を入ったら天守群の方を見上げてください(写真右)。
鉄格子の窓を指さしながら「あの窓から、城兵はこの辺りを監視するんですよ」とさらっと脅します。
さて、大天守を見学し終わると、順路は東小天守の1階を経てロの渡櫓へと続きます。
その突き当りにあるのが例の窓です。実際にこの窓から外を見たのが次の写真です。
「覚えてますか? ここは水の一門の内側から見上げた窓ですよ。見てください。ほの門から入って水の一門へ進むとき、人はここで必ず180度方向転換します。すると労せずしてここから彼らの背中を狙えるんですよ。」と火縄銃を構えるポーズをとって説明すると、6割くらいの方が意図を理解して外に向かってカメラを向けます。
大天守見学の終盤なのでくたくたになっていて興味を示さない方もいらっしゃいますが、この仕掛けに大興奮するマニアも多く、更にこの窓の右手隅にある下向き鉄砲狭間にも気づく冷静な方も。
そんな時は私の方が内心大喜びです。
「絶妙配置の鉄格子窓」(二の渡櫓)
大天守に入る前の「右が大天守、左が小天守、二つをつなぐ通路、覚えといてね~」は私の鉄板セリフです。
これは大天守1階西側の大きな扉を説明する時の伏線なのですが、今回はこの格子窓の「配置」に注目してください。勝手に、これぞ姫路城の美意識ここに極まれり、と思っています。鉄格子窓が3つずつ、2段に並んでいますが、これが絶妙な配置だと気づいたのは次の一節をよんでからです。
「天守では、上下階で窓と壁の位置を交互に換える、すなわち窓を市松模様に並べるのが理想であった。」(三浦正幸著「天守 芸術建築の本質と歴史」137頁)
中央の4つの窓と壁の並びに市松模様が見えませんか。しかもこの部分(ニの渡櫓)は遠く(無料エリア)からでも確認できます。三の丸広場の南端からも見えるのでぜひその配置をチェックしてください。
(市松模様とは日本の伝統紋様の一つでチェッカーフラッグ🏁の柄と同じです)
写真は大手門から入って右手の土塁の上からです。手前の桜の枝にピントが合ってしまい、肝心の窓の配置がぼやけてますが。
実はこの配置が好きすぎて日付スタンプにしました。
今年2月の自転車で巡る姫路城中堀ツアーでご一緒した団員のみなさん、第6回団員総会(2024年11月)で私の名刺を受け取られたみなさん、あのスタンプは姫路城ニの渡櫓の窓の配置だったんですよ。
アドベントカレンダー2024の企画のおかげで、放置していた伏線をなんとか回収できました。このスタンプを押したハガキや私のnew名刺をお持ちの団員のみなさんにどうか届きますように。
そして、拙い文章をここまで読んでいただきありがとうございました。
(文中特に記載のない写真は2024年12月11日に撮りました)
クリスマスイブまであと10日。この後もどうぞアドベントカレンダー2024のブログをお楽しみください。