団員ブログ by 攻城団 団員による団員のためのブログ

犬山城の移築城門巡り

こちらもご覧ください!(広告掲載のご案内

こんにちは。城郭建造物大好き・ごましおです。
「今年良かったお城」として「犬山城の移築城門巡り」について書きたいと思います。


0.章立て

以下の章立てになっています。

  1. はじめに
  2. 犬山城天守
  3. 犬山城松の丸裏門(犬山市常満寺)
  4. 犬山城内田門(犬山市瑞泉寺)
  5. 犬山城松の丸門(一宮市浄蓮寺)
  6. 犬山城二の丸矢来門(扶桑町専修院)
  7. 犬山城黒門(大口町徳林寺)
  8. 犬山城清水門(一宮市運善寺)
  9. 最後に

1.はじめに

犬山城には犬山市と周辺の市町のお寺に以下の6基の移築城門があるようです。

  • 犬山城松の丸裏門(犬山市常満寺)→薬医門
  • 犬山城内田門(犬山市瑞泉寺)→薬医門
  • 犬山城松の丸門(一宮市浄蓮寺)→薬医門
  • 犬山城二の丸矢来門(扶桑町専修院)→高麗門
  • 犬山城黒門(大口町徳林寺)→薬医門
  • 犬山城清水門(一宮市運善寺)→高麗門

ミッションは名鉄名古屋駅から名鉄と徒歩で、6基の移築城門全てを1日で攻城することです! 無駄に歩きます。


2.犬山城天守

自宅を朝の5時頃出発し、電車を乗り継ぎ、最後に名鉄名古屋駅から名鉄犬山線で犬山遊園駅まで行きます。駅から犬山城内田門が移築されている瑞泉寺まで徒歩5分ぐらいで着くのですが、移築城門巡りといっても犬山市にまで来て犬山城天守をスルーするという選択肢はごましおにはありません。なので駅から徒歩15分ぐらいで着く犬山城天守をまず攻城します。

犬山城天守
犬山城天守内部3階

犬山城天守は3重4階、地下2階の望楼型天守です。じっくり見ているといくら時間があっても足りないのですが、今回の主役は移築城門です。おまけに駅から遠い移築城門もあるので、時間の関係で天守の攻城はほどほどにして先を急ぎます。


3.犬山城松の丸裏門(犬山市常満寺)

犬山城天守から徒歩10分ぐらいで犬山城松の丸裏門が移築されている犬山市常満寺に着きます。

犬山城松の丸裏門(犬山市常満寺)

犬山城松の丸裏門は薬医門です。本柱2本で冠木を支えていて、脇柱はなしです。薬医門形式の犬山城移築城門の中ではこの門だけが脇柱なしになります。

犬山城松の丸裏門の石碑

犬山城松の丸裏門の案内板はないようですが、「犬山城松の丸裏門」の石碑があります。

犬山城松の丸裏門(犬山市常満寺)その2

控柱は本柱と貫で繋がれています。

右側の門扉に潜り戸が付いています。

潜り戸にもしっかり閂が掛かっています。
なお、犬山市常満寺の山門は国の登録有形文化財に指定されています。

次の移築城門へと向かいます。


4.犬山城内田門(犬山市瑞泉寺)

常満寺から徒歩20分ぐらいで犬山城内田門が移築されている犬山市瑞泉寺に着きます。

犬山城内田門(犬山市瑞泉寺)

犬山城内田門は薬医門です。門の案内板や石碑等はないようです。本柱2本と脇柱2本で冠木を支えています。

犬山城内田門(犬山市瑞泉寺)その2

控柱は本柱と貫で繋がれています。脇柱とは繋がれていません。

瑞泉寺から犬山城天守を望む

ここから5分ぐらい歩いて犬山遊園駅に戻ります。


5.犬山城松の丸門(一宮市浄蓮寺)

犬山遊園駅から名鉄犬山線で布袋駅に行きます。
布袋駅から徒歩30分ぐらいで犬山城松の丸門が移築されている一宮市浄蓮寺に着きます。

犬山城松の丸門(一宮市浄蓮寺)

犬山城松の丸門は薬医門です。本柱2本と脇柱2本で冠木を支えています。

浄蓮寺山門案内板

一宮市指定文化財
建造物 浄蓮寺山門 一棟
浄蓮寺蔵
昭和四十四年九月三日指定
門の型式は薬医門(やくいもん)という。屋根は切妻とし、棟は甍瓦(いらか)を伴う組棟で、降り棟をもつ。瓦は、本瓦葺きで鬼瓦は鳥伏間をつけている。軒は一軒で、疎垂木(まばらだるき)として破風(はふ)には猪の目懸魚(けぎょ)をつけ、破風、ともに漆喰仕上げとする。本柱と脇柱は並列させて正面とし、その後に控柱をもつ。本柱は特に太く柱間は三間で、控柱とは控貫でつなぐ。本柱通りの柱頭に冠木(かぶき)をおき、控柱には頭貫をかけ渡し、それに五本の男梁(おばり)をおいて丸桁(がんぎょう)をいれる。棟木には男梁に立てた束で支えるが、その位置が本柱通りの上でなく、内側へ寄り、屋根の荷重を控柱にも分ける点が薬医門の特色である。扉は縦板張りで肘壺を吊り、向って右の脇間には脇戸を付属する。当門は、犬山城の松の丸の本丸門と言われ、明治初年に移築したものである。したがって、鬼瓦には犬山藩成瀬公の定紋であるかたばみ紋が入れてある。屋根の組棟の複雑さ、降り棟、そして刀根丸の菊付留蓋などの重厚さは、簡潔な柱組みの構成のもとで豪快な趣を醸し出している。その一方で、妻から軒にかけての漆喰い仕上げの白が冴え、細やかな美しさを添えてもいる。
平成元年に保存修理を実施した。
一宮市

難しいワードがいっぱい出てきてビックリしましたが、非常に勉強になりました。

犬山城松の丸門(一宮市浄蓮寺)その2

案内板に書いてあるように、懸魚と破風が両方とも漆喰仕上げ(写真の屋根右端の白い部分)になっていますね。

犬山城松の丸門(一宮市浄蓮寺)その3

控柱は脇柱と貫で繋がれています。本柱とは繋がれていません。控柱が貫で繋がれている柱が、犬山城内田門(犬山市瑞泉寺)では本柱だったので、ちょっと違いがありますね。

ここから30分ぐらい歩いて布袋駅に戻ります。


6.犬山城二の丸矢来門(扶桑町専修院)

布袋駅から名鉄犬山線で柏森駅に行きます。
柏森駅から徒歩10分ぐらいで犬山城二の丸矢来門が移築されている扶桑町専修院に着きます。

犬山城二の丸矢来門(扶桑町専修院)

犬山城二の丸矢来門は高麗門(旧型)です。本柱2本で冠木を支えていて、脇柱はなしです。

専修院東門案内板

扶桑町指定文化財
建造物 専修院東門
この門はもと犬山城二の丸の矢来門で、明治九年ここに移されました。
城郭建築特有の高麗門という形で、裏側の本屋根と直交する二つの屋根があるのが特長です。扉などからみて初期城門の形式を残していて三百数十年前をしのぶ貴重なものです。
扶桑町教育委員会
昭和四十九年八月 指定

犬山城二の丸矢来門(扶桑町専修院)その2

控柱は本柱と貫で繋がれています。

透門(すかしもん)になっています。初期城門というのも納得です。

表側から見ると見過ごしてしまいがちですが右側の門扉に潜り戸がついています。
次の移築城門へ向かいます。


7.犬山城黒門(大口町徳林寺)

専修院から徒歩15分ぐらいで犬山城黒門が移築されている大口町徳林寺に着きます。

犬山城黒門(大口町徳林寺)

犬山城黒門は薬医門です。本柱2本と脇柱1本(左側のみ)で冠木を支えています。

徳林寺山門案内板

大口町指定文化財
徳林寺山門
この門は、もと犬山城(天文六年築城)の第一黒門であったものを明治九年 金二十三円で購入し、信徒の奉仕によってこの寺へ移築されたものである。城郭建築特有の門で初期城門の薬医門形式を残しており、当時をしのぶ貴重な建造物である。
昭和六十年一月十六日指定
大口町教育委員会

犬山城黒門(大口町徳林寺)その2

左の控柱は本柱と貫で繋がれていますが、右の控柱は脇柱と貫で繋がれています。右の本柱とは繋がれていません。控柱が貫で繋がれている柱が、犬山城内田門(犬山市瑞泉寺)(両方とも本柱)や犬山城松の丸門(一宮市浄蓮寺)(両方とも脇柱)とも、またちょっと違いがありますね。

ここから15分ぐらい歩いて柏森駅に戻ります。


8.犬山城清水門(一宮市運善寺)

柏森駅から名鉄犬山線で江南駅に行きます。
江南駅から徒歩1時間ぐらいで犬山城清水門が移築されている一宮市運善寺に着きます。駅から遠いので一番最後に取っておいた移築城門です。時間がなくて帰り道の途中で暗くなったとしても移築城門を見学中が暗くなければ問題なしという考えです。

犬山城清水門(一宮市運善寺)

犬山城清水門(一宮市運善寺)は高麗門(旧型)です。本柱2本と脇柱2本で冠木を支えています。

運善寺山門案内板

一宮市指定文化財
建造物 運善寺山門 一棟
運善寺蔵
昭和四十四年九月三日指定
門の型式は高麗門(こうらいもん)で、主として城門に利用される方式である。屋根は内側にある小屋根とともに切妻で、棟は組棟、瓦は平成五年の修理の際、従来に戻し本瓦葺とした。破風(はふ)にはかぶら懸魚(けぎょ)をいれ、軒は一軒(ひとのき)の疎垂木(まばらたるき)である。
本柱は太く、脇柱とで大きな冠木(かぶき)を受け、これより束(つか)をたてて棟木をおく。丸桁(がんぎょう)は六本の男梁(おばり)で支え、垂木(たるき)をかける。本柱の内側に控柱を立て、飛貫と腰貫でつなぎ、腕木をいれて冠木からの丸桁を支え、小屋根は全開した扉の雨除けとなる。それぞれの柱には、柱頭や根巻の他各所に鉄金具をつけ、その扱いは入り口の楣(まぐさ)や蹴放(けはなし)にも見られる。扉は縦板張りで、これも筋金である。方形花金具、乳金具、菊金具つき入八双金具などで装飾され肘壺でつる。三間ある中で、向かって右の脇間は少し広くとり、これにも金具をつけた脇戸を設けている。
当門は、明治初年に犬山城から移されたもので、同二十四年(一八九一)の濃尾大震災で倒壊し、その折りに改修されたが、平成五年の修理によって、当初に近い姿となった。
扉・柱ともに各種の金具や鉄枠で装飾し、大きな冠木とともに威圧的な構成をもち、いかにも城門らしい機能を備え、市内には珍しい存在である。
一宮市教育委員会

こちらの詳しい解説も一宮市です。異なる自治体の案内板を読めるのも移築城門巡りの醍醐味です。

  • 犬山市→案内板なし? 石碑がある場合あり
  • 一宮市→である調で詳しい解説
  • 扶桑町→ですます調でコンパクトな解説
  • 大口町→である調でコンパクトな解説

自治体によって対応が随分と違いますね。
ただし犬山市は移築城門に関心がないかと言うとそんなことはなく、6基の移築城門等に対して、保存活用を目的として、図面化のため実測調査等を実施または計画しているそうです。→アウトプットがどういう形になるかは不明ですが、今後の犬山市の動向に注目したいと思います。

犬山城清水門(一宮市運善寺)その2

控柱は本柱と貫で繋がれています。脇柱とは繋がれていません。

ちょっと派手な感じの門扉です。案内板に書いてある方形花金具(?)は他の五つの移築城門には見られなかったものですね。

その後、寄り道をしつつ1時間30分ぐらい歩いて柏森駅に戻り、名鉄犬山線、名鉄広見線と乗り継いで新可児駅まで来て、可児市内の宿に泊まりました。1日で47000歩も歩いていました。


9.最後に

1日で6基の移築城門全てを攻城したのでミッションコンプリート、大満足でした。足がパンパンになりましたが。
最後までお読みいただきありがとうございました。

   
この記事を書いた団員
フィードバックのお願い

攻城団のご利用ありがとうございます。不具合報告だけでなく、サイトへのご意見や記事のご感想など、いつでも何度でもお寄せください。 フィードバック

読者投稿欄

いまお時間ありますか? ぜひお題に答えてください! 読者投稿欄に投稿する

トップへ
戻る