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皆さんこんにちは。団員のワタナベです。
令和7年5月の第1回に引き続き、愛知県日進市の岩崎城で2回目の城たびが開催されましたので、その参加者レポートになります。
前半:ミスターこまなが・内貴先生による濃密なギャラリートーク!

城たび当日は日本海側で寒波が襲来しており、雪が降るという予報もありましたが、見事に晴れてくれました! しかし風が強く、寒い中での開催となりました。
前半は「ミスターこまなが」こと岩崎城歴史記念館学芸員の内貴先生によるギャラリートークからスタートです。
ここから先は、岩崎城歴史記念館で開催中の企画展示「戦国武将 丹羽氏次」を撮影した写真が掲載されています。今回は展示品を詳細に写さないことを条件として特別に撮影許可をいただいておりますが、通常は展示室内は撮影禁止となります。

まずは丹羽兄弟の兄・丹羽氏次の解説からスタートです。
氏次は小牧・長久手の戦いの際には自分の領地を離れてまで家康の傍にいることを願い出た、家康LOVEな武将だったとのこと。
関ケ原の戦いの後に故郷の領主となり伊保の町を開発しましたが、その数か月後に亡くなってしまったそうです。
実は丹羽氏次の直接の記録となる資料はとても少なく、今回展示されている「伊保之記録」は氏次の領主としての行動が読み取れる希少な資料だそうです(伊勢に領地を持っていたこともあるそうですが、そちらは場所もはっきり分からないとのこと)。
一見では古い記録帳にしか見えませんでしたが、背景を聞くことでその貴重さが実感できました。

続いては弟の氏重の解説です。
城代として岩崎城の留守を預かっていた氏重ですが、近隣の「傍示本城(ほうじもとじょう)」の城主であり、この傍示本城も周辺をよく見渡せる重要な場所だったそうです。近年は研究者の間でも氏重の奮闘が評価されており、著名な先生も「岩崎城の戦いが無ければ、小牧・長久手の戦いでの家康の勝利も無かった」と言っているそうです。
今年の大河ドラマでは、ちょっとでも登場すると良いですね!

奥の方には、羽柴軍の陣立て図や池田恒興のものと伝わる馬具が展示されていました。
馬具については本当に池田恒興のものかは分かりませんが、尾張藩士が長久手の戦いの勉強のために伊保を訪れて、池田恒興のものとしてこの馬具をスケッチした記録があるそうです。
尾張藩士も僕らと同じようにガイドをしてもらっていたんだと聞いて、何百年経ってもやることは変わらないんだと笑ってしまいました。

なお、今回の展示の多くは個人所有のもので、内貴先生が所有者の方からの信頼を受けて展示が実現しているそうです。
展示品をどのように配置して、どのように固定するのかまで内貴先生が関わっているそうで、学芸員としての仕事の多彩さや苦労を数多く聞くことができ、とても聞きごたえのあるギャラリートークでした!
後半:内貴先生と岩崎城を攻略!

歴史記念館を出て、いつものように皆で自己紹介をしてからガイドスタートです。
第1回の城たびでは、ここから見える周辺の地形や他の城の説明がありましたが……。

今回説明を受けたのは、この木が生えた斜面についてです。
昔の測量図によると、この斜面に沿って竪堀が掘られていたことが記録されていたそうです。大手道(城の入口)が反対側だったことを考えると、ここは急斜面に加えて竪堀を掘ることで城の背後をがっちり固めていたようです。

こちらも本丸の隅櫓跡。
発掘された礎石から、かなり大きな二階建ての建物があったことが分かるそうで、当時の天守に該当すると考えられているようです。畑として使われたためか本丸からは他の礎石は見つかっておらず、この礎石がなければ岩崎城は建物が無い簡素な砦扱いだったかもしれませんね。

こちらは櫓台跡で、城内で最も高い位置にあります。
ただしここは自然地形ではなく、人力で土を盛って高い部分を作り上げているそうです。

先ほど登っていた櫓台を含む土塁を、攻め手側から見るとこんな感じです。
本丸に攻め込もうとすると、容赦なく土塁の上から矢と鉄砲玉が飛んできますね。

二の丸では、ここは一つの独立した曲輪なのか、それとも馬出なのかという議論について解説がありました。
建物の礎石が見つかれば完全に曲輪と言えるそうですが、ここも畑として使われていたため石を除去したり土を混ぜている可能性が高く、発掘しても成果が得られるとは限らないのが難しいところですね。
ここから先は、普段は立ち入り禁止の場所に入ったり登っていたりする写真が掲載されていますが、今回のツアーでは特別に許可を得たうえで実施しています。普段は禁止されていますので、ご了承ください。

というわけで、ここからは普段は立入禁止のゾーンの解説です。

今は痕跡がありませんが、二の丸と大空堀の間の部分がかつての大手道だったそうです。
ここで撃退された池田兵が空堀に落ちたという記録については前回の城たびでも聞きましたが、こうして上から見るとまた印象が変わりますね。

二の丸の外側でちょっと休憩中。何やら背後の土塁からガサゴソと音がしますが……?

幹事のpriusイワさんがロープを用意してくださり、今回は特別に土塁を登る体験をさせていただきました。

こんな形で交代で土塁を登りました。
土はサラサラしていてなかなか踏ん張ることができず、しかも上に行くほど傾斜がきつく、とてもロープなしでは登れませんでした。

遠くから見るとこんな感じです。
一見何の変哲もない斜面ですが、防御力の高さを身をもって味わいました。幹事のpriusイワさん、貴重な体験をありがとうございました。
この辺りで寒さが厳しくなり、予定とは違うルートに変更して一旦記念館で暖まることになりました。
この日は本当に風が強く冷たかったので、この変更がとてもありがたかったです!

休憩前に、岩崎城で最大の見どころである空堀に入らせていただきました。
普段は立入禁止ですが、空堀清掃などで中に入れる機会もあるそうですので、入りたい方は要チェックです。

堀底から、先ほど登った櫓台を見上げます。
先ほどロープなしでは登れなかった土塁以上の急斜面が待ち構えており、これは難攻不落ですねぇ……。

反対方向を見ると、左側の本丸と右側の二の丸にしっかり高低差があり、二の丸を落とされても本丸側から攻撃ができる構造になっています。まさに戦うための構造です。

空堀は本丸を囲むようにぐるりと一周していたようで、空堀の底をそのまま南側へ進みます。
こちらも普段は立入禁止のゾーンです。

南側まで来ると、空堀はそのまま斜面に向かって落ちていきます。
一番奥の内貴先生の辺りが低くなっていますが、空堀の中にも段差があり容易に上がれない構造になっているようです。
堀底の移動を制限することは小田原北条氏の障子堀(または堀障子)が有名ですが、似たような発想がここでもあったんですね。

本丸に戻る前に空堀を振り返ると、やっぱり圧倒的な壁に見えます。
これを人の手で掘ったのですから、戦国時代の兵士の体力はとんでもないですね……。

歴史記念館で休憩後、模擬天守の南側へ降りて記念撮影を行いました。
左側には、最初に説明があった竪堀があった斜面が見えています。

今度は模擬天守の真下を降りていきます。ここは普段から入れる場所だそうです。

再び立入禁止の大きな空堀に、反対方向から入っていきます。

先ほどは見下ろしていた大手道を、今度は空堀の底から見上げます。
大手道で池田軍を蹴散らした丹羽氏重はその後城外へ出撃していったようですが、氏重の討死した場所がかなりここから離れているそうで、その道筋を辿っていきます。

城から出ると完全に住宅地になっています。
高低差も無いのであまり城らしさはありませんが、細く曲がりくねった道が多い所に城下町の痕跡があります。

内貴先生は丹羽家の家臣団の名前も把握されているので、この付近で家臣団と同じ苗字の表札を見るとついテンションが上がってしまうようです。

氏重討ち死にの場所と伝わる所までやってきました。
堀や土塁のような防御施設も見当たらず、ここで池田軍に囲まれたらひとたまりもなさそうです。16歳の若武者だった氏重が、若気の至りで突撃しちゃったのかなと皆で考察しながら、城の方角へ引き返します。

戻る途中の住宅地からも、岩崎城がよく見えました。
外観的には歴史的な根拠のない天守ですが、地元のシンボルとして今日も聳え立っています。

記念館まで戻ってきて、ガイドツアーは終了です。皆さん、寒い中お疲れさまでした!
この後は、近隣の喫茶店「コーヒー錦」さんにて懇親会が開催されました。愛知に来たからには小倉トーストでしょ! ということで注文しましたが、とてもおいしかったです。
終わってからの振り返り
私は前回の岩崎城での城たびにも参加しており、その時もレポートを書いていたので内容を見比べてみました(前回のレポートはこちら)。
寒かったため急遽変わった部分はありますが、前回とは異なる部分も多く、2回目の参加者でも飽きずに楽しめるコースになっていたと感じました。
今回はギャラリートークがあったことが一番大きな違いですが、他にも前回は入らなかった隅櫓の裏側や南側の空堀に入らせてもらえたり、歴史学者の間でも岩崎城の戦いの価値が再評価されているといった最新の動向を聞かせていただいたりと、これまで知らなかった話をたくさん聞けて、とても充実した楽しいツアーになりました。
特に内貴先生のお話の面白さは圧巻ですので、内貴先生が出演される講演会やイベントがありましたら、参加されることを強くおススメします!
ここまでお読みくださりありがとうございました。
寒波が来たり暖かくなったりと天候がイマイチ安定しませんが、皆様も体調にお気をつけて攻城ライフをお過ごしください。