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こんにちは! 団員のワタナベです。
4月の城たびに合わせて、なかなか行けずにいた奈良県の高取城を攻城してみました。攻城を考えている皆さんの参考になれば幸いです。
下調べとコース決め
攻城団のお城ページでは、平均見学時間は2時間でした。

登って降りて2時間であれば、山城なら普通かなと思っていましたが、皆さんのコメントを見ると…
「登城口から30分くらいで着きます」 「駐車場から本丸まで2時間」 「往復で半日必要」
と、いろんなコメントがあり、果たしてどれが正しいのか……?
結果的には、「駐車料金が無料だから」という理由で、観光駐車場に駐車して目指すことに。
軽く調べてみると比高(山麓から本丸までの高さ)が日本有数とのことで、城下町から歩くとどれだけ大変なのかも味わってみることにしました。まあ、なんとかなるでしょう!
駐車場からいざ、出発

観光案内所 夢創舘近くにある第1観光駐車場に車を停めてスタート!
ここから時間を計測しました。

しばらく歩いていると、「馬冷やし」という看板を発見。
この辺りは人気もなく静かな場所ですが、意外な所に城下町の痕跡がありました。

そのままひたすらまっすぐに進むと、砂防公園に到着。ここまでスタートから17分で来れました。

山道に入り、しばらく進むと「日本最強の城」の幟旗が登場。
ここからが本番のようです。

案内板にはルートや見どころだけでなく、「高取城を満喫してくださいね」と応援してくれるメッセージも。この後も度々励ましてくれます。

今ではほとんど山道にしか見えませんが、木に埋もれた石垣と段々状の平坦面にお城の痕跡を感じます。

しばらく進むとまた看板が。山城ではお馴染みのくねくね曲がって進みにくい道のお出ましです。

このタイミングで立派な城址碑が登場。
ここからが史跡として認定されている領域ってことのようですね。

くねくねしつつも中々の勾配の登り道を進んでいきます。
ハイキングコースとしてしっかり整備されているので、登りやすさには全く問題ありません。……が、体力はガリガリ削られていきます。

しんどくなってきたタイミングでベンチが置かれています。
一休みしてもうひと頑張り!

そろそろ城の痕跡が何かないかなーと考えていると、再び看板を発見。どれどれ……。

看板に書いてあったのは「一升坂」の説明。
築城の際にここを登るのがしんどいので、この上に石を運ぶ際には米一升をボーナスとして追加したとか……げげっ、ここに来てまさかの難所!?

一升坂を気合入れて登ります。
七曲りは先が見えなかったですが、ここは先が見えるので「まだ坂があんなにある……」ということが分かってしまいます。坂の右側(谷側)にもしっかり土塁+石垣が残っていて、この上に防御のための塀が建っていたのかな? と考えながら登っていきます。

一升坂を何とか乗り切って進むと、左側に何か見えてきました。

急に開けた平坦面には変な石が置いてあります。
これはGoogleマップにも載っている「猿石」で、看板によると飛鳥時代に制作されたものを築城時に建設資材として持ってきたとのこと。

ここまで駐車場から55分で到着。あれ、片道2時間という話では……?

猿石のすぐ上には二の門跡が。
ここまでの石垣の高さは低く、斜面を整地する目的が大きかったように思いますが、二の門からはここから先には通さないという意識が感じられます。

えっ、ここから本丸まで高低差110m……?
安心するのは早かったようです。

二の門の裏には、山城ではとても珍しい水堀が登場。
城郭検定の問題で「山城としては珍しく水堀がある城はどれ?」とよく出てきます。実物を見たからには、もう間違えません(泣)

まだまだ山道は続きますが、立派な石垣に目を奪われます。

しばらく進むと、国見櫓跡へ到着。
奈良県の反対側の信貴山まで見渡せ、この景色を見ていると奈良一帯を支配したような感覚になります。

櫓跡の石垣を下から見ると、きれいな白い石で揃えられています。
この白い壁は城下町からも見え、正に「見せるための石垣」だったようです。

未だに残っている立派な石垣がある一方で、既に崩れてしまった石垣も。

こちらは宇陀門の手前。
門の高い石垣も見事ですが、登城路と同じく通路の脇にまで石垣が残っていて、ここに土塀でもあったのかなーと考えながら登っていきます。

こちらは千早門横の城代屋敷の石垣です。
城代とはいえ家来一人のためにこれだけの石垣を積んだかと思うと、江戸時代の殿様の権力がいかに大きいものか実感できます。



三の丸入口の千早門、二の丸入口の十三間多門、二の丸中央の十五間多門と立派な石垣の門が連続します。
同じ城内でも、何回も修理をしているためか石垣の積み方が違う印象を受けます。

そして遂に本丸に到着!!
長かった……ですが、これまで以上の高くて立派な石垣の迫力に圧倒されます。

本丸裏手に回ると、延々と石垣の壁が続いています。裏側も防御力に抜かりはありません。

……と思いきや、随分と登りやすい足場のある部分も。これは岩村城の六段壁と同様に、倒壊防止の補強なのでしょうか?
山城の石垣を維持していくことの大変さが窺えます。

時間を確認してビックリ!
城の領域に入ってから1時間以上かかっていました。城内に入ってからいろんな部分をウロウロしていたためでしょうが、片道2時間が正解でしたね。
本丸ではハイキングの皆さんが多くお昼ご飯を食べており、城好き以外にも愛されてるなーと感じながら降りていきます。

下りのルートは壺阪口登山道を目指します。こっち方面は車でも来れるようですが、果たして……?

割とあっさり、15分くらいで登山口へ到着。
ここが車が数台駐車できる場所として紹介されているマップもありますが、あくまでも広い道路の隅っこに路駐できるという程度のようです。

ここからは林道をひたすら降りていきます。しっかりとしたアスファルトの道ですが、車同士のすれ違いは難しそうです。

ひたすら下りです。同じような光景がひたすら続くのと、下りとはいえそれなりに勾配がきついので、精神的にも肉体的にも疲れが溜まっていきます。

30分くらい歩き続け、壺阪寺の駐車場に到着。
ここまで結構下ってきたので、逆に登るのはしんどそうです。

そのままひたすら歩き、スタート地点に戻ってきました。
タイムは3時間半と少し。さすがに着いた時にはヘロヘロでした。
攻城を終えて

地図で見るとこんな感じです。下りルートで壺阪寺を経由すると、かなり遠回りになることがよく分かります。
車の通行量もそれなりにあるので、歩くのであれば七曲り・二の門を経由するハイキングコース(赤線のルート)を往復することをおススメします。
登った感想としては、「最強の比高」は伊達ではなく、かなりの大変さでした。
登りの大変さをA~Eの五段階評価で考えると、個人的にはAかと思います。ただしハイキングコースとしてしっかり整備されているため道中は歩きやすく、看板で励ましのメッセージも度々あるため、そこまで辛い思いはしませんでした。

登りの道中や本丸付近には紅葉が多く、秋に来たら絶景は間違いなしなので、またその時期に登ってみたいと思えるほど良いお城でした。
体力に自信のある方は、ぜひ麓から登って「日本一の山城」を味わってみてください!