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関西から関東に赴任した時から行きたかった岩櫃城ですが、なかなか機会に恵まれず今回初めて訪れることができました。その攻城記録を記載致します。
攻城計画
岩櫃城は現在住んでいる所から距離があり1泊2日で念入りな計画を立てましたが、3月・6月・8月と計画が頓挫し10月の3連休にやっと現地を訪れることができました。ただその間に不安な事柄が色々と増えました。
- 熊出没問題;10月に入り熊の活動がさらに盛んになり群馬県の沼田市のスーパーに熊が出没した
- 岩櫃城の中心部に行きたいが山の反対側にある潜龍院跡の石垣も見たい。徒歩だと真田道で大回りするか鎖場のある赤岩通りを通る必要がある
- 登山道の赤岩通りの情報が少なくどんな道なのか非常に不安
- 利用するJR吾妻線の便が悪く11時台を逃すと14時前まで前橋へ戻る電車が来ない
- 台風が3連休の最終日に来る予想と温帯低気圧の影響で3連休の真ん中以外は雨が降る予定
さまざまな理由を考慮して直前に行程を1日早めて、天気の悪い日に群馬県藤岡市に入り、小雨の中でしたが平井城と平井金山城を攻城しました。

関東管領山内上杉氏の本拠地は平城ですが土塁が復元されていて十分に見ごたえがありました。

小雨の降るなかの詰め城の平井金山城の攻城は厳しかったですが素晴らしい遺構が見れました。その後高崎に向かい高崎城を見て次の日に備えます。
攻城開始

次の日、早朝から高崎駅より電車に乗って群馬原町駅に降り立ちました。
前日は小雨で気温が15℃まで下がりましたがこの日は朝から晴天で良かったです。

国道の分岐からひたすら舗装された山道を歩きます。途中でクマ注意の看板があちこちで見られます。群馬県の熊出没情報は事前に確認してきましたが、いざ山道に入ると少し不安になります。

駅から40分ほど歩いて岩櫃山平沢登山口観光案内所に到着しました。ここで情報を仕入れます。

案内所の方に岩櫃城に行きたい旨を伝えるとジオラマで行き方を教わりました。
赤岩通りについて尋ねると「鎖場があるので下りる時注意して」とアドバイスをいただきました。あと「熊は最近でてないよ」という言葉は気休めですがありがたかったです。でも気を引き締めて行きたいと思います。

今回のコースは平沢登山口より尾根通りで中城を経て本丸に向かい6合目の分岐より赤岩通りを通って潜龍院跡に向かう行程です。9時半に出発して11時半までには郷原駅に着く予定です。

いよいよ出発です。
トレッキングポールと熊鈴を用意し登山準備を整えます。まだ朝の9時半ですが岩櫃山に向かう登山者の方が次々に出発されています。

尾根通りを歩いて行くと中城にでました。前日の雨で道が少しぬかるんでいます。

中城を抜けると本丸に続く中央竪堀の真下にでます。
分岐点には必ず標識があり登山者にとってはありがたい限りです。

この真っすぐに伸びる竪堀が素晴しく、実際登ってみると攻め手には厳しいつくりであると実感できます。

本丸下の竪堀にでました。横堀のように見えますがパンフレットには竪堀と書かれています。

この二の丸と本丸の間の堀は見応えがありました。かつてはもっと深かったと思います。

二の丸よりの眺望は素晴らしかったです。天気も良く前日には見られなかった最高の景色です。

二の丸から見る鉤(かぎ)の手状に折れる堀と土塁です。その形に惚れ惚れしながら写真を撮りました。

本丸への道を登りながら下を見ると急斜面の土塁と幅の広い長大な竪堀があり防御力が高いことがわかります。

ようやく本丸に着きました。
本当に来たかったお城に着くことができて感慨もひとしおでした。小休止をしてその後周辺を探索します。

本丸下の腰曲輪はかなり広く感じられました。ここより本丸の突き出た櫓台も見えます。
本丸は岩櫃山の中腹標高593mに立地し、東西140m南北35mの広さがあるとのこと。さすが真田の城と感心しながら北西の虎口に向かいます。

10月でもまだ草木が多いですが枡形虎口の跡も雰囲気がでています。
ただ草が多く道のないところはあえて行かないようにしました。

岩櫃城要害地区だけの見学であればここから沢通りを通り平沢登山口へ戻れます。
沢通りには水曲輪や竪堀もあるとのことで少し迷いましたが山頂方面へ先を急ぎます。

この四合目からより本格的な登山区域になります。さらに気を引き締めて行きます。

しばらく行くと天狗岩がでてきました。岩の中央部分が天狗の鼻のように見えます。

さらに行くと岩場がでてきました。前を歩いていた登山者が登るのに少し苦戦している様子です。

私はここで体力は使うまいと迷わず岩場迂回路を選択しました。
迂回路はかなり細い獣道ですが危険回避です。

何とか迂回路を経由し六合目まで来ました。
登山者の方はここから山頂方面に向かいますが私は山頂には向かわず左矢印の赤岩通り方面へ進みます。ここから登山の人も見えず一人旅です。

本来十二様通りが通れればゆったり歩いて行けましたが現在崖崩れで立入禁止になっていました。

仕方なく赤岩通りへ進みます。何か岩に囲まれた崖が見え少々不安になります。

見下ろした瞬間、ここを降りるのかと緊張が走ります。ほとんど角度のない鎖場です。

鎖を降りながら赤い岩場ゆえに赤岩通りと呼ばれるのかと考える余裕はありませんでした。
何とか降りきって見上げるとつくづく恐ろしい鎖場だと感じました。手袋を持ってきて良かった。

そのあとは小さな岩場が続きますが先ほどの鎖場ほどの難所はもうありません。

そうこう歩いていると麓に案内板と石垣らしきものが見えてきました。

待望の潜龍院跡が現れました。
真田昌幸が武田勝頼を迎えるために三日間で建てた御殿の跡だと言われている場所です。石垣がしっかりと残っています。何か嬉しすぎて石垣の周りをうろうろしました。

石垣の周りにヒガンバナが咲いていました。
あとで本の写真で知りましたがこの場所で石垣ばかり見入ってしまい頭上にきれいな岩櫃山が見えるのをうっかり見過ごしてしまいました。

潜龍院跡から少し歩いて岩櫃山の絶好の写真スポットである密岩神社に来ました。
他の場所からだと民家に張られている電線が邪魔になり、この場所だと電線がなく岩櫃山がバッチリ撮影できます。

何とか予定より早く終点の郷原駅に到着しました。
気温は25℃近くあがりかなり汗をかいていました。郷原駅は無人駅で電車を利用するには電子マネーが使えないため入場証明書をとってしばらく駅で休息しました。
終わりに
今回は準備にもかなり時間をかけて望み、途中ハラハラドキドキ感もあった攻城でした。
六合目までは岩櫃山に向かう登山者の方が多く見られ安心して行けましたが、赤岩通りからは一人だったためこれほど不安と期待感のある攻城も今回が初めてだったと思います。
熊に出会うこともなく道中無事に帰って来れたことが一番でした。最後に自分の目で見る真田氏の岩櫃城は素晴らしかったの一言です。
長らく読んでいただきありがとうございます。これから攻城される方の参考に少しでもなればと思います。
